金旋の夢



戻る
{つづく


ある時代、武陵ぶりょうという地の太守に金旋きんせんという男がいた。

何事も無い平穏な日々を送っていたが、ある時金旋の側近である大将鞏志きょうしが言った。

「殿、今のままでは、この武陵も、他の国に滅ぼされてしまいますぞ。

荊州全土を我が領土となさるよう御決断を・・・」

あまりにも突然な彼の言葉に、金旋の目は、点になった。

少しの沈黙の後、金旋は鞏志にこう言った。

「鞏志よ・・・一晩考えさせてくれないか・・・」

鞏志は、彼の決断を待つ事になった。


〜その夜〜・・・

金旋は床の中で、荊州全土を手に入れた時のことを考えていた。

それは、なかなかの心地であった。

が、しかし、よく考えてみれば零陵れいりょう桂陽けいようの2つはいいといても、長沙ちょうさは考え物だ・・・。

長沙の太守、韓玄かんげんには、猛将、黄忠こうちゅう魏延ぎえんという恐ろしい2人がいるからである。

・・・冷汗をかいた金旋は・・・

結局不安を抱いたまま朝を迎えることとなった。

目にクマを作った金旋は、鞏志の姿を見るなり、思わず泣きついてしまった。

金旋を見かねた鞏志は、

「殿は、わたくしが必ずお守りいたします。」

と、言ったのであった。

そして・・・

最初に長沙を落城させようと考えた鞏志は、翌日、魏延と会う約束をした。

金旋は、一人寂しく鞏志の帰りを待っていた・・・   
つづく

{つづく

戻る